第15話  庄 竿 め    平成15年8月1日


人によっても違うが大体
11月の中頃から年内に苦竹の藪の中から、竿に出来る素性の良い竹を探し、余分な枝を払い乾燥させる。竹の肉が締まってきて虫が付かないときを選ぶのである。傷を付けぬ様にして枝を払い、天日に晒して置くとだんだん白く変色してくる。根の部分のみまだ青い内に真直ぐ矯める。根の部分は特に硬いので幾分柔らかい時でないと中々真直ぐにはならない。其の為、根の部分は樫の矯め木を使う人も居る。

翌春、乾燥した竹を取り出し大まかな曲がりを直す。蝋を塗りコンロで暖め柳の矯め木を使い曲がった逆くに約10度位曲げ、冷め際に垂直に伸ばす。普通この第一回目の矯めで癖を取る。これが一番大切なことである。ここで竿を折ってしまうことが多い。矯めに使う蝋は必ず木蝋を使用する。竹に木蝋を塗り火に掛け蝋が泡立ち始めた時が矯め加減の瞬間である。この瞬間の見極めがプロとアマチュアの差となって現れる。西洋ろうそくでは直ぐに引火して使い物にはならない。

これを煤棚に上げて乾燥させて又翌春に又矯め木を当てて延ばす。これを4~5年繰り返すときっちりと竹がしまって癖が出てこない良い竿に変化していく。

鶴岡、酒田は竿の作り方は違っている。また、師匠により工程に微妙に違いが出てくる。また、時代によっても作り方に変化が見られるようだ。

例えば、竿の節をトクサを掛ける人も居れば、トクサ掛けを嫌い小刀のみで仕上げる人も居る。又、籾殻で仕上げる人も居る。また、矯めでもこき上げを使う人も居れば、竿に傷が付きやすいからと嫌う人も居る。古の名人の中には多少の傷は厭わず竿本来の持ち味を優先し名竿を作り上げた人も居る。

庄内竿といっても作る人で皆違い、千差万別なのである。ただ、云える事は、竹本来の持ち味を竿にどう生かすかを考えてのことなのである。

ただ、残念なことに最近は庄内竿を作る人がめっきりと少なくなってきたことである。作る人が少ないということは、当然値段も高く、手ごろな値段では買えなくなって来ている事でもある。